Column

2019/09/19

庶民の資本主義経済(20APR2005)

 「とっとと他の店へお行き!ここにはあんたのような安っぽい人間に似合う安物の服はおいていないから!」と、私の友人Hoaに叫んだのはMo市場にある洋服店で気に入った服の値段交渉をした後の売り子だった。若い女性達にとって買い物は、ひとつの楽しみで、余暇の過ごし方だし、値切り交渉もその内のひとつだ。「しかし、件の売り子は私を侮辱したから、あの店には二度と行かないわ」とHoaはいう。「本当にあの売り子はバカよ!私というお客を失うだけならまだしも、私の身のまわりに居る家族、友人、知人にもあの店には近づかない方が好いって言いふらしてやるって事を解っちゃいないのだから、、、諺に“お客様は王様”って言うでしょ!」
 一般的に人々は 客の気持ちを汲んでくれない店や、店員が失礼な店では買い物をしない傾向がある。この様な考え方からQuan Hoa通りで下着店を構える店主Nguyen Thi Ngocさんは、常にお客様への満足行くサービスをモットーにしていると言う。「うちの店では、客が買い物をしようがしよまいが、客の望むなら幾つでも自由に試着していただきます。何故なら、いつか私のサービスが舞い戻って来る事を知っているからです。今日、商品が売れなくても、明日売れるかも知れないでしょ。でも、もしたった一人のお客様を不興な気持ちにさせれば、それ以上のお客様を失うことに繋がるのですから」とNgocさんの談。
 Quan Thanh通りで洋服店を営むNguyen Quang Hung氏は、お客への対応が悪かった店員を首にした。「この店員は、次から次へ試着を重ね買い物をしない客に対して文句を言ったわけですが、私としてはこの様な態度は許せませんでした。我々はお客様を必要としているにも関わらず、この店員の取った行動は、お客を店から追い出した様なものですからね」とHung氏。また同氏は店内に目安箱の設置を検討中で、更なる顧客サービス向上に繋げる参考にして行きたいと言う。人々を魅了し、店の評判を上げるには先ず、いかにお客を喜ばせるかが鍵であると専門家は助言する。
 ここにHanhさんのケースを述べてみよう。彼女は、Ly Thuong Kiet通りで美味しくて評判のうどんやを営んでいるのだが接客態度は最悪。彼女自身お客に対し気が短いのは十分に気づいているのだが、忙しすぎていちいち細かい客の要求に応えていられないのだ。彼女が語るところに因れば、「お客に罵声を浴びせるなんて事は失礼極まりないけど、こうでもしなきゃ客の要求や文句に堪えられないわ!客なんて云うものはね!要求が多くて面倒くさいの!判る!?例えば、3人の客が来たとすれば、一人は薬味の何々を大目に、一人は野菜を多くしてだの、一人は辛目にしろだとか、全くうんざり。彼らは同じ時間に私が一体どれだけのお客を相手にしているのかなどお構いなし。私はそれほど気が長くないし、最終的に客に怒りをぶつけてしまうのよ。私の接客態度で客を失のは判っているし、客には申し訳ないと思うけど・・・」
以前Hanhさんの常連であったVan Anhさんは二度と彼女の店には行くもんかと息巻いている。曰く「私は彼女からの侮辱に金を払っているわけではないのだから」Anhさんは、Hanhさんに教訓を与えるためにも人々は彼女のお店へ行くべきでないと考えている。
 以上の事柄は私の大学の近くで帽子を扱うとても素敵な少女の事を想い出させる。彼女は少なくとも10個の帽子の試着をさせながら、ひとつひとつの帽子に対して似合うかどうかの細かい彼女のコメントを付け加えてくれるのだ。勿論 何度も試着して似合うものがなく結果的に買い物をせずに彼女の店を出るときもあるが、そんな時も彼女は笑顔で「次においでになるまでに あなたに似合う帽子を仕入れておきますね」言い、見送ってくれる。結局、翌日にこの店へ訪れ私の妹用の帽子を購入した。最も、自宅近にだって帽子屋はあるので、わざわざ彼女の店まで足を伸ばす事もないのだが、彼女の接客態度に見せられての事だ。最終的に私が思うのは、客は常にその買い物に対するお金を支払っただけの対価を満足として求めているもの。最後に、これからは客の要望をうまく聞き入れつつ商売を営む店が、客の心を捉え そして収入が増えるのだろう。
 
(ブログ筆者寸評) 
 先進諸国では「お客様第一主義」は当たり前だ。顧客満足なくして会社や店の繁栄など考えられない。ベトナムはこの点、大きく立ち後れている。が、少しずつ着実に、商売の考え方が売り手市場から買い手市場に移行する過渡期を如実に示唆する内容である。そもそも売り手市場が成り立つ原因は、物不足と言った経済背景が存在することに因り起こる事象。つまり、この記事からは今日 ベトナムは物不足から解放され買い手市場が形成されつつあるのを如実に物語るものなのである。

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