Column

2019/10/03

 

私記:ベトナム人身売買の実態 No1(22APR2005)

 これまでベトナムで暗躍する人身売買の犠牲者の多くは地方の貧しい少女と思われて来たが、今では異なる様相を見せ始めている。と言うのも最近では、犠牲者の対象が、高学歴で都市部に住む女性にも広がりつつあるのだ。ここに大卒の Trangさん(仮名)のケースを元に拡大化を辿るビジネスの実体を説明しよう。Son La省からやってきた男性と恋に落ちた彼女は、男性にQuang Ninh省のお寺へお詣りに行こうとそそのかされついて行ったのだった。その後3ヶ月間、彼女からの音信が完全に途絶えてしまった家族は彼女の無事を心配し続けてた。

 そんなある日、彼女から突然家族に電話が入った。話に因れば、彼女は件の男性に騙され中国の置屋へ売り飛ばされたものの何とか逃げ出すことに成功したという。が、しかし身の安全の為、具体的にどこに潜んでいるのかは教えられないと言葉を濁す。彼女の両親は何とか娘を救い出そうと懸命の努力を試みるも、中国公安局からは限られた情報だけで広大な中国のどこかに潜む彼女を捜し出すのは困難と難色を示して今も捜査は進んでいない。

 Trangさんと同じ様なケースに巻き込まれたHoaさん(仮名)は5年間に渡り中国国内で売春婦として働くよう強要された。今は一刻も忘れ去りたい記憶だという。しかし祖国へ無事帰国出来た彼女のケースはまだ幸せだ。彼女は タインフォア省の貧しい家庭に生まれ育った。成長し、よりよい暮らしを求めハノイに移り住んだ彼女は、家政婦の仕事を得るために、ある家族と生活を共にするようになる。

 ところがここから転落の人生が始まったのである。その家族の主人が繰り返し彼女を強姦し、その露見を恐れた主人は、彼女を中国へ売春婦として売り飛ばしたのだった。幸いにも彼女はモンカイの国境線を越え数少ない帰還者としてベトナムに戻ることが出来た。帰国後直ちにHoaさんは、公安当局に出頭し事情を説明し、地元当局からの支援を受けることが叶ったものの、失った彼女の青春と国外で売春婦を強要された地獄の日々は今も彼女の心に深い傷を残している。

 二つのケースはいずれも氷山の一角に過ぎず、今も子供や女性を対象とした人身売買は日々ここベトナムで起きているのが実状。毎年、数万人にも及ぶ違法人身売買が行われ、ある者は売春婦として、ある者は労働力として外国に送られている。この悲惨な背景には、不幸な子供達の存在がある。公安省の統計に因ると、1991~2004年にかけ4000件以上の人身売買事件を摘発し、その関係者を逮捕した。また、ベトナムは人身売買の被害地であり、主な被害者の輸出先は中国南方地区やカンボジアとなっている。

No2につづく

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