Column

2020/02/13

鶏頭となれども牛後となるなかれ(08MAY2005)

 殷賑な商業活動の雰囲気漂い、近代的な住宅が建ち並ぶ北部Vinh Phuc省Tho Tangは、ただの小村に過ぎないが、ここの村人や地域の人々の多くは商売人として生計を立てている。Vinh Tuong区Tho Tang村の人々は自らの才覚と工夫に因り、それぞれの商売を盛り立て、村を開発しながら自分達の生活向上に努めている。2,786世帯中781世帯は大資本家、1,500世帯は小資本家として日々ビジネス活動を行っている。商売人達は大小さまざまな農産品から水牛などの家畜禽類まで一手に扱う。Tho Tang村は、近くに川が流れ近郊に町がある以外、商業活動の助けになるような好条件は何も揃っていない。が、何を隠そうこの村は13世紀以来の商売の村として有名なのだ。「農家は農繁期しか働けないが、我々は毎日 商いをする」とTho Tang村人民委員会のDo Xuan Tien委員長は語る。
 また人民委員会では商売を立ち上げたり、商売人として既に活躍している村民に優遇措置を講じたり、銀行から資金を借りられるようにとり計らったりもするとの事。商売は多くの時間を必要とするため、その日の内に全ての仕事を終えることが出来ないからこそ、男達は夜、酒や賭事に費やす時間はほんの僅かしかない。商売は何も村の男性達に限られたわけでなく、ここでは女性達の活躍も目覚ましい。Tien委員長は、「私も妻が商売を切り盛りしてくれているので安心して人民委員会での職務を遂行出来るのです。」とはにかみながら答えてくれた。

 興味深い事に、この村で成功を修めているいる人々は大卒はおろか高卒以下が殆どなのだ。村民に因って成功している企業の資産は数十万ドルに及ぶ。Nguyen Xuan Tuu氏は、その内の一人であり、以前、農業を営んでいたが、一念発起し会社を興し、今では年間数十万ドルの売上げを誇るまでになった。

(ブログ筆者寸評) 
 大なり小なりベトナム人は起業家精神旺盛だ。そんな中、新聞にまで掲載されるTho Tang村のケースはベトナムの中でも特異な出来事なのだろう。起業家と云う言葉がITバブル華やかし頃、日本で流行った。その時、筆者は既にベトナムに来ていたが、やたら”起業家”であることが一種のファッション・トレンドとしてもてはやされる日本の風潮をどこか苦々しく思っていた。雑誌の取材で自らが起業家として紹介された時も、何かおかしな違和感を感じたものだった。実体以上に言葉だけが独り歩きし、猫も杓子も起業家・起業家ともてはやされ、当人達は未だ成功もおぼつかないのに浮かれまくる。
 誤解のないよう言葉を添えるが、起業自体を筆者は非難しているのではない。そもそも起業なんて誰でも意志さえあれば明日からでも出来るのだから、、、、。問題は、その中身と起業する人物の考え方なのではないかと言いたいのだ。ややもすると、当時の起業家と云う言葉のどこかに「お洒落で格好好い・洗練されてスマート」と言ったニュアンスが人々の心を単に酔わせているだけではないかと思う。
 ベトナム人の起業を見ていると、日本のそれとは対局に位置するのが容易に見て取れる。起業とはそもそも、もっと現実的でバタ臭いものであり、形振り構わずはいつくばって、貪欲に利益を追求する行為ではなかろうか。ベトナムに天秤棒を担いだ売り子が絶えず往来を行き来している。傍目には、ちっぽけなつまらぬ商いにしかみえないが、案外、長く続けているみすぼらしく見える行商のおばさん、おじさん達が市内に持ち家を三軒なんてざらにいたりする。儲けてなんぼの世界だけに浸る積もりはないものの、筆者は起業の原点を彼らから学ばせて貰っている。だから儲からないのかも知れないと言う話もあるが、、、

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