Column

2020/02/29

出生届けを出さぬ親たち(12MAY2005)

 出生証明書は子供達が教育・福利厚生や様々な生きるための権利を遂行するのに大切な届け出で在るにも関わらず、地方では出生届を提出しない傾向がある。先ごろ Huc Nghi村の山間住民を対象に出生届提出キャンペーンをはったところ参加者のHo Thi Teさんは、自信なげに

「この紙切れ(出生証明証を指し)がないと今年6つになる長男が小学校に入れないと言われて来た。」と話した。4人の子の母親であるTeさんは子供の出生時に出生届を提出しなければならないとキャンペーンで知るまで、子供達が7才になるまで必要でないと思っていたそうである。Teさんの件は氷山の一角に過ぎず、多くの様数民族は出生届の重要性を知らずにおり今も、Huc Nghi村に住む子供達の50%にあたる356人が今も出生証明書を所持していない。Quang Tri省Dakrong区にある14の村で凡そ60~70%の6才未満の幼児が登録を受けていないと区の法務課Tran Cong Huan課長は云う。不思議なことに昨年Quang Tri省人民委員会から法務省に送られた正規報告書には実数より少ない未登録者数が記載されており、これが本当なら95%の新生児が出生登録を済ませたことになる。実際、未出生登録者数因り登録者の数字が遙かに多いことは全く驚くべきであると法務課職員は云うのだ。

 出生登録は基本的な人権のひとつであり、国連憲章にもうたってあるばかりか、ベトナムにおいても法制化している。2001~2010年のベトナム政府が定めた子供の人権へのアクションプランでは、子供全体の出生登録を2005年までに80%、2010年には90%を目標としている。2001年以降、不名誉な達成率を認識した上で、法務省は全国の64の市・省自治体に対し是々非々で出生登録を上げるよう要請した。その結果、2001~2004の4年間で凡そ200万人の子供達に出生証明書が発給されアクションプランが適正に遂行されているように見られるが、実際はまだまだ僻地山間部や少数民族の子供達に基本的な権利が普及していないことを物語っている。

(ブログ筆者寸評) 

 参考までに、つい3年前まで、ベトナムも中国の様に結婚したカップルに対し、”二人っ子政策”を実施していた。今は改正され公務員でなければ何人子供を産んでも良くなった。(カップルの何れかが公務員の場合、3人目をもうけると失職すると言う厳しいもの)さて、ベトナムには55の少数民族がおりその殆どが独自の民族衣装を身に纏い僻地山間部で昔ながらの農耕生活を送り暮らしている。ベトナム政府は社会主義共和国創立時より、少数民族に対して手厚い保護と様々な優遇措置を与えてきた。これはベトミン時代にホーチミン大統領が少数民族の力を借りて抗仏闘争を行うことが出来た事に加え、少数民族に因る政府への不満が民族問題に拡大せぬよう防ぐためであった。

 しかし一方で、ベトナムの主要民族”ベト族”の手前、二人っ子政策を導入した時、遍く少数民族へは三人まで子供をもうけることを認めたのだった。ところが、元々農林産業を生業としてきた少数民族にとって一家の子供は重要な労働の担い手であり、三人っ子は現実的に受け入れられるものではなかった。そこで4人目からは出生登録をしなくなると云うわけだ。現場で政府の政策を指導する末端の地域人民委員会は、少数民族の生活実状を間近に見ており、三人っ子政策の徹底を努める振りを本庁にしつつ実質、少数民族の多産に片目ををつむらざるおえなかったわけだ。ベトナム自体、経済成長に比例し都市部と僻地山間部との間で所得格差が急速に拡大している今、少数民族の不平・不満を如何にやわらげて行くかが今後の政府の大きな課題である。

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